建物のリフォーム工事や解体作業を行う場合、事前のアスベスト調査が必要になります。令和4年から一定規模以上の解体や改修工事において、アスベスト調査の報告が義務付けられましたが、これは作業に携わる人が健康被害に遭わないための配慮です。鉱物の一種であるアスベストは石綿の別称を持つ通り、非常に軽量で扱いやすく、加工が容易でした。様々な分野で活用されていたことから「夢の素材」とも呼ばれ、建築の分野でも断熱材や防炎材として多用されていた事実は否定できません。

しかし、アスベストはかつて非常に細かい粒になって飛散する性質があります。この粒はトゲのように鋭く、吸い込むと肺の細胞に刺さって炎症を引き起こします。これによって肺炎や肺癌などの重大な疾患に見回れることが発覚し、平成18年には製造や使用、所持の一切が禁止されました。しかし、平成18年よりも前に作られた建物には普通にアスベストが使われていたことから、現在でも危険な物質が残っている事実は変わりません。

解体などの際に作業員が健康被害に遭わないよう、事前の入念な調査が必要になります。調査は素人にはほぼ不可能なので、専門知識を持つ有資格者が従事するのが普通です。法律に基づく調査結果の報告も有資格者の役割なので、ある程度の出費は承知で専門の会社に依頼するのが社会的な責務と言えるでしょう。人々の健康を守るためには法律を守り、正しい手順で調べることを忘れてはいけません。